今週月曜日のブログ記事「いかにイメージするか、憂いなければ備えなし」の追記に、「憂いをリアルにイメージし、現実を直視すれば、ガン保険の加入を考え直すでしょうね・・・」と書きました。
これについて質問がありましたので、もう少し詳しくお伝えします。
ガン、おそらく日本人が最も嫌いな病気でしょう。
1981年以降、日本人の死因ランキングでトップを続けており、年間に約38万人(2021年)がガンによって亡くなっています。
死亡数の多さの他にガンが嫌われる理由として、闘病の辛さが挙げられます。
抗がん剤治療の副作用に苦しむ様は、目の当たりにしたことがなくとも多少はご存知でしょう。
また、ガンの転移や再発に怯えなければならない点も無視できません。
このように、ガンになった場合をリアルにイメージすると、最も良いのは当然ながら「ガンにならない」ことです。
次善は「ガンになってもすぐに全快(寛解)する」こと。
そのために年に一度はガン検診を受け、早期発見・早期治療できるよう備える人が少なくありません。
それでは、がん検診を積極的に受ければ、本当に早期発見・早期治療ができるのでしょうか?
この問いの回答は、「運良くできる場合もあれば、そうでない場合もある」が妥当かもしれません。
しかし、市区町村が実施しているガン検診では早期発見は期待しない方が無難だと思います。
何故なら、それらはガンが進行していないと発見できない検査だから。
そこで見つかるガンはある程度進行しており、早期発見・早期治療につながらないケースが多いのです。
「ガンは生命に関わる病」とのイメージが強いと思います。
ガンは日本人の死因第1位ですから誤りとは言えませんが、実際にはガンの死亡率は低下してきています。
「それではどうしてガンによる死者が増え続けているのか」と疑問を抱くかもしれませんが、それは我が国の高齢化が進展し続けているのが主要因。
高齢化など年齢構成の変化の影響を取り除いた「年齢調整死亡率」で見ると、ガンの死亡率は1990年代後半がピークでその後漸減しています。
我が国の高齢化によりガンによる死者が増え続けている、すなわちガンで亡くなるのは圧倒的に高齢者が多いのです。
80歳未満で亡くなった方の死因のうちガンが占めるのは、男性13.5%、女性8.0%に過ぎません。
50歳未満でみると、男性女性共に1%にも満たないのです。
「ガンになったら治療費やその後の生活費が大変」、このようなガンの憂いもありますね。
この備えとしてガン保険に加入している人は多くいます。
以前にもご紹介しましたが、ガンになる年齢階級別の割合は以下の通り。
男 性 女 性
~39歳 1.2% 2.3%
~49歳 2.8% 6.2%
~59歳 7.8% 12.3%
~69歳 21.6% 21.1%
~79歳 43.0% 32.7%
60歳未満の現役世代であれば、ガンになるのは約10人に1人。
(亡くなるのは100人に1~2人)
これをどのように判断するかは人それぞれですが、巷間よく言われる「2人に1人はガンになる」を鵜呑みにして判断するのは止めた方が良いでしょうね。
ガンという憂いに対する備えとして、がん検診やガン保険を全面的に否定するつもりはありません。
そのお陰で多少は救われたという人も多いでしょうから。
しかし、「ガンにならない」ことを目指すならば、その備え(がん検診やガン保険)は全く意味がないことも認識すべきです。
そして、がん検診やがん保険は、あなたの闘病時の苦痛や転移・再発の不安を和らげてはくれません。
ガンにならない備えの第一は、ガンにならない生活習慣を身に付けること。
先ずこの備えをし、後にガンを患ったときの備えをすべきではないでしょうか。
ガンにならない生活習慣は、同時に他の憂い(患い)に対する備えにもなりますから・・・
追記
ガンに備えることは大事ですが、生命・健康を考えるなら、ガンだけに特化した備えでは余りにも不十分なのでは・・・