竜王戦七番勝負第6局を藤井聡太五冠が制し、将棋界の最高タイトル「竜王」を防衛しました。

20221206藤井竜王初防衛

藤井五冠はこれまでタイトル戦に11回登場(挑戦5回・防衛戦6回)しましたが、いずれも勝利し驚異のタイトル戦勝率10割を誇っています。

藤井五冠の次のタイトル防衛戦は、来年1月から始まる「王将戦」。
そして、その挑戦者はかつて将棋界の全タイトル(七冠)を保持した羽生善治九段。
タイトル戦では初の対局となり、新旧の最強棋士の対決は棋界のみならず世間の注目を集めることでしょう。


将棋は齢を重ねても指すことができますが、スポーツ同様に20代~30代が強さのピーク。
10代でタイトルを次々と奪取した藤井五冠もさることながら、52歳で王将に挑戦する羽生九段も驚嘆に値します。

将棋に限らず、齢を重ねると脳の働きは衰えると考えられていますね。
日常の行動を支える知的な能力を「知能」と言いますが、この知能は(ホーンとキャッテルによれば)2種類に大別されます。
それは、「流動性知能」と「結晶性知能」です。

20221206流動性知能と結晶性知能

「流動性知能」とは、新しい環境に適応するために、新しい情報を獲得し、それを処理し、操作していく知能のこと。
処理のスピード、直感力、法則を発見する能力などを含んでいます。

「結晶性知能」とは、個人が長年にわたる経験、教育や学習などから獲得していく知能のこと。
言語能力、理解力、洞察力などを含んでいます。


流動性知能は10歳代後半から20歳代前半にピークを迎えた後は低下の一途を辿る一方、結晶性知能は20歳以降も上昇し、高齢になっても安定していると考えられています。

20221206知能と加齢の関係

つまり、齢を重ねると全ての知能が衰えるのではなく、維持されやすい能力もあると考えられるのです。


将棋の勝負においては、おそらく流動性知能の方が重要なのでしょう。
そう考えると、若くて勢いのある藤井五冠の優位は動かないのでは。
ただ、結晶性知能を活かした羽生九段の勝利、通算100期目のタイトル獲得も期待してしまいますね・・・


追伸
アルツハイマー病など脳のトラブルが起こらぬよう、若いうちから脳の健康には留意しましょう。
アルツハイマー病は不可逆的な進行性の脳疾患、発症してしまうと病状が改善することはありませんから。